漫画「ガラスの仮面」の主人公、北島マヤ。
「演じること」「お芝居」に一筋で、金銭欲というものとは無縁のように見える彼女ですが、女優・俳優といった芸能人は、高収入であるというイメージを一般的に持たれているかと思います。
北島マヤが演劇の世界に飛び込み、現在(花とゆめコミックス既刊49巻)までに得た収入は一体どのくらいなのでしょうか?
この記事では北島マヤが現在までに稼いだ収入について調査しました。
※なお、本記事での金額の表記は、現在(執筆時点)での貨幣価値に基づいています
北島マヤの芸能仕事で稼ぎだした総収入を調査!
まず、作中で描かれている北島マヤのすべての仕事を調べてみました。
なお、今回は北島マヤが「芸事で稼いだ金額」のみを調査範囲としたため、芸事以外の通常のアルバイトや、降板などの理由でそもそも収入自体発生しなかったと思われる舞台などは対象外としました。
芸能仕事で報酬の発生しなかったもの
芸事以外のアルバイト
- I公園の茶店でアルバイト
- 大学の演劇科でのアルバイト
収入が発生しなかったと思われる舞台など
- 舞台「たけくらべ」
- 舞台「ジーナと5つの青いつぼ」
- 舞台「シャングリラ」
- 舞台「黄金の実」
- 「女海賊ビアンカ」
- 「通り雨」
- 「わが作品No.707愛しのオランピア」
- 「真夏の夜の夢」妖精パック役
美登利役
演劇コンクール地区予選
ジーナ役
演劇コンクール全国大会
巫女リーラ役→本番には出演できず、そのまま降板
マージ役
初日のみで降板
一ツ星学園での一人芝居
一ツ星学園での一人芝居
ルル役
一ツ星学園演劇部の舞台
チャリティ舞台
上記を除いて、収入が発生した可能性のある北島マヤの仕事は以下の通りです。
収入が発生した北島マヤの仕事
劇団つきかげ時代
- 舞台「若草物語」
- 映画「白い青春譜」
- 栄進座の舞台「おんな河」
- 舞台「嵐が丘」
- 舞台「石の微笑」
- 舞台「夢宴桜」
- 舞台「奇跡の人」
ベス役
通行人役
子守役
キャサリン(幼少期)役
人形エリザベス役
海堂寺千絵役(代役)
ヘレン・ケラー役
大都芸能時代
- MBA大河ドラマ「天の輝き」田沼沙都子役
- 「天の輝き」CM出演
- 日向電機(「天の輝き」スポンサー)製品CM出演
- 「天の輝き×日向電機」宣伝ポスターモデル
- 松越デパート明治フェアにて案内役
- 明治村にて
- 映画「白いジャングル」藤村未央役主演
- メディア露出
- 舞台「夜叉姫物語」乞食の子供トキ役
途中降板
「天の輝き」ロケおよびファンとの記念撮影イベント
「天の輝き」「白いジャングル」の出演時期、モーニングショーなどのテレビ出演、雑誌インタビューなどのメディア露出
大都芸能との契約解消後
- 舞台「ふたりの王女」王女アルディス役で出演
- 舞台「忘れられた荒野」狼少女ジェーン役で出演
北島マヤのギャラを推定
これらの舞台、映画といった仕事のギャラですが、作品内にはあいにく明確な記述が無く、推定して算出するしかありません。
今回、以下の通り、それぞれの仕事のギャラを推定・算出してみました。
舞台のギャラ
舞台俳優の報酬体系は、主に「給料制」か「1ステージにつきいくら」といった「ステージ制」に分かれるようです。
北島マヤが出演してきた舞台が、それぞれどちらの報酬体系であったかという描写はありませんが、マヤが最初に所属した「劇団つきかげ」では、少なくとも「給料制」だった可能性は低いと思われます。
- 「劇団つきかげ」自体が新設の劇団である
- アルバイトを始める描写がある
「劇団つきかげ」入団後にマヤが学校のテキスト代などのために(※1)アルバイトを始めた描写
などが挙げられます。
では「ステージ制」だったのかというと、これも明確な描写はありません。
マヤの立場(新人、奨学生)などを考えると、「つきかげ」での公演に出演した際ギャラが出なかった可能性もあります。
仮にステージ制でギャラが出ていたとして、1ステージ5,000円くらいまでだったのではないでしょうか。
そのため、
- 舞台「若草物語」
- 舞台「石の微笑」
ベス役
人形エリザベス役
以上2タイトルの「つきかげ」での公演については、若草物語が5日間公演だった(※2)ため、石の微笑も同じ公演日数だったと考えると、1日1公演として全部で10公演。
仮に1ステージ5,000円のギャラだったとすれば、5,000円✕5公演✕2タイトル=5万円となります。
その他に出演した舞台については、
- 栄進座の舞台「おんな河」
- 舞台「嵐が丘」
- 舞台「夢宴桜」
- 舞台「奇跡の人」
- 舞台「夜叉姫物語」
- 舞台「ふたりの王女」
- 舞台「忘れられた荒野」
子守役
キャサリン(幼少期)役
海堂寺千絵役として(代役)
ヘレン・ケラー役
乞食の子供トキ役
王女アルディス役で出演
狼少女ジェーン役で出演
以上の7タイトルがありますが、いずれも「つきかげ」以外が主催の舞台に出演(客演)していたものや、大都芸能所属時代のものなので、ある程度のギャラは支払われたのではないかと思います。
大都芸能時代は給料制であった可能性も否定できませんが、本記事では、舞台ごとのギャラの計算を分かりやすくするため、これらもステージ制であったと仮定して計算していきます。
これらのステージも、それぞれの正確な公演期間・公演回数は不明ですが、原作での描写から、奇跡の人は期間で5日間以上(※3)、忘れられた荒野は回数で5回以上(※4)と推定できます。
このため、夢宴桜とふたりの王女も含めて、ここでは各5公演ずつ出演しているものと仮定して計算します。
1ステージのギャラを1万円と仮定すると、合計は1万円✕5公演✕7タイトル=35万円となります。
以上により、北島マヤが舞台出演で得た収入の合計は40万円と推定しました。
北島マヤのテレビドラマのギャラ
北島マヤは「天の輝き」というテレビドラマ(大河ドラマ)にも出演しています。
もっとも、途中降板にはなってしまいましたが……
テレビドラマのギャラは、舞台とはまた違って1話あたりいくら、という形態が多いようです。
主役級であれば1話あたりのギャラ100万円以上ということもあるようですが、マヤが演じた田沼沙都子は主役ではありませんでした。
放送中に人気が上昇し、出番も当初から増えたようですが、主役級のギャラとまではいかなかったことでしょう。
むしろ、新人なら1話あたり数万円ということもあるようです。
ただ、マヤはこのとき新人ですが、
- アカデミー芸術祭助演女優賞(演劇部門)を受賞
- 大河ドラマでビッグタイトル
- 大都芸能の所属
→沙都子役に抜擢されたこと
「天の輝き」は民放(スポンサー・CMあり)の大河ドラマでビッグタイトルと言えること
大手芸能事務所である大都芸能の所属であること
などから、最低ランクのギャラということは考えにくいのではないか……ということで、ここでは1話あたりのギャラを10万円と仮定して計算します。
マヤの登場回が全部で何話放送されたかは明確ではありませんが、作中での描写から、放送開始が春(おそらく4月)からで、夏休みの時期(7〜8月頃)に公開された映画「白いジャングル」の後でドラマを降板になったことから、最低でも週一の放送✕約3〜4ヶ月=12〜16話前後はマヤが沙都子として出演・放送されたと推定できます。
そのうち全部の回に沙都子が出たわけではないでしょうから、ここでは仮に10話登場したとします。
すると、ギャラの合計は10万円✕10話=100万円となります。
ドラマ関係の仕事のギャラ
北島マヤはドラマ「天の輝き」関係で以下のような仕事もしています。
- 「天の輝き」CM出演
- 日向電機製品のCM出演
- 宣伝ポスターモデル
- イベント
日向電機(「天の輝き」スポンサー)製品CM出演
「天の輝き×日向電機」宣伝ポスターモデル
松越デパート明治フェアにて案内役、明治村にて「天の輝き」ロケおよびファンとの記念撮影イベント、「天の輝き」「白いジャングル」の出演時期、モーニングショーなどのテレビ出演、雑誌インタビューなどのメディア露出
松越デパート明治フェアにて案内役はドラマのロケに合わせて記念撮影イベントが行われたことを考えると、イベント自体のギャラというのは特に発生していないかもしれませんので、ここではそれ以外の仕事についてギャラが発生していたものと仮定します。
CMのギャラ
作中の描写によると、「天の輝き」は毎年恒例の大河ドラマですし、スポンサーの日向電機も大手のようですから、それらのCMとなると、新人とはいえ(このときは大手芸能事務所の大都芸能所属でもあったわけですし)マヤにはそれなりのギャラが支払われたのではないでしょうか。
とはいえ、新人・知名度の高くないタレントのギャラは1本数万〜数十万円、有名人では数千万円とかなり振れ幅が大きく、また、年間契約かクールごと(1クール=3ヶ月)の契約かによっても変わってくるらしく、金額の推定はかなり難しいですが、ここでは1本100万円と仮定します。
天の輝きのドラマのCM1本、日向電機製品のCM出演で最低1本と考えると、CM出演のギャラは合計で200万円となります。
ポスターモデルのギャラ
こういった企業の広告モデルのギャラもかなりバラつきがあるようですが、専業のモデルの方で、1現場(1日)1万〜5万円程度となるようです。
マヤの場合、新人ですが俳優として大手電機メーカーの広告ポスター10種類くらい(※5)の撮影に臨んだわけですから、それよりは多い金額であったと仮定し、10万円程度はギャラが支払われたのではないかと推定します。
- デパートのフェア案内役
- テレビ、雑誌などのメディア露出
このときにはすでにかなり沙都子=マヤの人気が出ていたようで、「買い物客殺到!」との描写(※6)もありました
この仕事は1日のみだったと仮定して、ギャラは10〜20万円程度と推定します
こちらも件数やそれぞれのギャラがまったく不明なのですが、マヤは最低でもテレビ番組5つ、雑誌5つ程度に出演・取材を受けたと仮定します
雑誌についてはギャラなし(プロモーションになるため)というケースもあるようですが、テレビの場合は最低でも3〜5万円程度はギャラが発生したものと思われます
今回は雑誌取材はギャラなし、テレビ出演は1本5万円として、✕5本でギャラの合計は25万円と推定します
以上から、ドラマ「天の輝き」関係の仕事でのギャラは、合計で245〜255万円程度と推定しました。
映画のギャラ
映画には、以下の2本に出演している描写があります。
- 映画「白い青春譜」
- ⑭映画「白いジャングル」
通行人役
藤村未央役で主演
白い青春譜は「通行人役」として、セリフはありましたがいわばエキストラ出演のため、ギャラは5,000円〜1万円程度と推定します
白いジャングルですが、新人ながら主演ということで、ギャラは300万円程度と推定します
合計では301万円程度となります。
北島マヤが稼ぎ出した総収入は
これまでのの内容をまとめてみます。
- 舞台のギャラ
- テレビドラマのギャラ
- ドラマ関係の仕事のギャラ
- 映画のギャラ
推定40万円
推定100万円
推定245〜255万円
推定301万円
以上をすべて合計し、北島マヤのギャラ総額は推定686〜696万円となりました。
大都芸能でのギャラ配分
……と、言いたいところなのですが、ひとつ抜けている要素があります。
芸能事務所に所属しているタレント・俳優の場合、ギャラは基本的に事務所がまず受け取り、そこから事務所の取り分を引いた残りを、給料として、または分配率(事務所ごとに取り決めは異なる)に従ってタレント・俳優に支払うというのが通例のようです。
したがって、北島マヤが大都芸能に所属していた時期の仕事については、大都芸能の取り分を計算に入れなくてはなりません。
このギャラの分配率というのは事務所によってもさまざまなようですが、「本人4割:事務所6割」だったり、タレント・俳優にとって条件のいいところでは、逆に「本人6割:事務所4割」という場合もあるようです。
大都芸能と北島マヤの契約がどのようになっていたかは具体的には不明ですが、例に挙げた分配率の間をとって、仮に「本人5割:事務所5割」だとすると、マヤの受け取った報酬額としては、以下のように数字が変わります。
- 舞台のギャラ
- テレビドラマのギャラ
- ドラマ関係の仕事のギャラ
- 映画のギャラ
推定40万円→推定37万5千円
(※大都芸能時代に出演した舞台「夜叉姫物語」のギャラが1万円✕5公演✕50%=2万5千円となるため)
推定100万円→推定50万円
(※すべて大都芸能での仕事)
推定245〜255万円→推定122万5千〜127万5千円
(※すべて大都芸能での仕事)
推定301万円→推定151万円
(※「白いジャングル」の方は大都芸能での仕事のため)
北島マヤが受け取ったギャラ総額は、推定361万〜366万円
となりました
現在(記事執筆時点)も連載の続いている「ガラスの仮面」
今後も北島マヤが演劇の世界で活躍していくことになれば、この金額はより多くなっていくことでしょう。
脚注※
白泉社文庫第1巻198P参照 公演の茶店でアルバイトを始める描写がある
白泉社文庫第2巻106P参照 初日のあと「4日続いた」とのモノローグから
白泉社文庫第5巻88P参照 公演初日から月影千草の昏睡状態が4日続き、その後千秋楽があったため、最低でも5日以上の公演期間があったと思われる
白泉社文庫第8巻17P参照 「ぼくきみの舞台5回も観にきたんだよ」との観客のセリフから
白泉社文庫第9巻124P参照 ポスターについてのテレビ局のスタッフのセリフより
白泉社文庫第9巻126P参照
参照サイト
ゲストライター
ライター名:M.Shuhei
東京を中心に活動するフリーの(駆け出し)WEBライター。
とある声優さんのファン歴8年目。得意ジャンルは広く「オタク系」。
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