みなさんは大失敗をしたことがありますか?
ボクはもちろん、あります!!
大失敗するのはとても自分に腹が立つし、情けなくなるし、消えてしまいたくなるけど、決して経験としてムダとは思いません。
失敗から学ぶことって多いし、絵だって失敗してこういうやり方したから、こういう風になった
っていうことを繰り返して画力も上がってくると思う。
だから、失敗を恐れずにできる限りの力で取り組みましょう!
失敗に向かって歩き出す
大作の予感
あるとき大きい仕事が入ってきた。
それは描き下ろし単行本の話。
内容は汚いことをして儲けた金を香港に住むある男に頼むと出所を隠蔽して表で使える金に換えてくれる。
それを軸に色んな人間関係が入り混じったサスペンス的な小説。
この仕事をもらうまで三国志以外では小説って読んだことがなくってスゴく面白い本だと思った。
これは気持ちも乗るし、いいモノが描ける!
そう思った。
失敗-1
分厚い小説を240Pの一巻で出すという。
だからまず、240Pにまとめる作業。
これがスゴく大変であれこれ考えながら1週間位かかって第一稿を仕上げる。
そしてFAX。
編集から帰ってきた答えは”これをもう一回まとめると丁度いいと思います”
ということで、これをまとめる作業に入る。
初めての海外旅行!
ネームの第2稿に入る前に、前から軽く話に上がっていた香港への取材旅行。
海外に行ったことがなかったから、優しい編集さんは事細かに色々出国のこととか教えてくれたからそれにしたがって準備、2時間前に空港に入る。
スゴく新鮮で楽しかった!!
日本以外知らなかったから、香港って日本で言う丸の内みたいな高層ビルのキレイなイメージだったけど、実際いってみるとスゴく汚い。
アジアって感じ。
でも、そんなところがスゴく好きになった。
写真を撮りまくって、屋台で色々見たりする。
この屋台を見るのがちょー楽しかったー!!
いつかまた香港行こう!
と心に誓う。
失敗-2
第1稿をまとめる作業。
セリフを削りシーンを削りコマを削って何とかまとめあげる。
ネームを描いてるときがいつもすごい苦痛。
でも多分苦しんで苦しんで練りに練って、練りに練るからいいモノになるんだと思う。
そしてFAX。
“これで行きましょう!”
OKが出た。
下描き→ペン入れの繰り返し
20Pごとの納品ということになって、下描き→ペン入れの繰り返し。
ヒロインが好きだった。
最近、厭世観が強いみたいなこと言われたから、多分ずっと子供の頃からそういう気持ちが強かったから、ヒロインの行動の心理がわかるのかなと思う。
そんなとき、Mr.&Mrs.スミスっていう映画が上映される。
ブラッドピッドも好きだし、アンジェリーナジョリーも好きだから観にいった。
そうだ!
関係ないけど、この2人離婚って言うニュースがやってましたね。
驚きおしどり夫婦っぽかったのに。
で、影響受けてラブストーリーを描きたくなったから、この漫画をラブストーリーに寄せようと画策。
自分の中では、主人公とヒロインが日本で再会するって言うシーンに力を入れようと決心。
このクライマックスシーンの見開き。
これは今観ても観れる絵だなって思います。
頑張った。
ここには載せないけど。
その後のシーンで死体を描くシーンがあったからネットで死体の絵を観まくってたら、
どうせ死ぬのに、なんでこんなに頑張ってるんだろう…
どうせ死ぬのに…
ってことになってしまうから、みなさんはネットで死体の絵なんか見ないほうがいいですよ。
完成!納品!
下描き→ペン入れを繰り返してやっと完成。
完成まで1年くらいかかった。
もちろん他の読切とか連載を描きながらの同時進行。
この話が好きだったし、この当時の全力で頑張ったから、作品のレビューが早く見たい!!
って思ってるうちにポツポツレビューが上がってきた。
Amazonで初めて自分の作品に対する意見を見た。
酷評に告ぐ酷評。
Amazonでも、mixiの原作者の人のファンページの意見も全て酷評。
中にはいい事も書いてあったけど…
ムチャクチャショックで、そのとき自分のサイトで日記をつけてたから、そこで“気にいらねーなら、桂正和でも井上雄彦でも誰でも使って描いてみろ!!テメーの金でな!!”みたいなこと書いた。
その位頑張って描いたし、苦しかったし、描いてるのが楽しかったから。
京都に住む鉄門海兄さんは、その日記を見て
“あんなこというのショボいよ”
って言われたけど、自分の素直な気持ちだからそのまま載せといた。
多分今も載ったまま。
でも、数年後1,000円とか払って本買ってくれてるんだから、本に対する意見くらい言う権利あるよな
って思うようになった。
それからはもう誰になに言われても何も感じなくなったよー
大失敗したものだけが大成功を収める!
描き終わってから色々言われたけど自分で思うことは、
今ならもっと上手く描ける!って自信を持っていえる。
- 失敗の原因-1
- 失敗の原因-2
シーンシーンごとに区切ってまとめて整理して、取捨選択をする
ということをしなかった
自分の描きたいシーンのためにこのシーンは絶対必要って言うのをどんどん絞っていくことで、もっと面白くまとめられたと思う。
途中からでも、軌道修正をすればよかったと、今なら思うけど、当時は気づかなかった。
第1稿が全ての失敗です。
この描き下ろし単行本のあとに入ってきた仕事で世界の名言ていう企画の本でこんな名言を担当しました。
大失敗したものだけが大成功を収める!
ロバート・ケネディ
この失敗を糧にまだまだ頑張ります!!
ピンチはチャンスですから!!
この作品で褒められるところなんてホントそんなにないけど、クライマックスの再会の見開き、最後のヒロインの死ぬ前の笑顔
これは今でも自分を褒めてあげたいくらい好きです。
まとめ
- 描き下ろし単行本などの長編を1冊にまとめる場合はシーンごとに区切って言いたいことを抽出していく
- 自分がその作品で描きたい部分のために必要かをよく考えて取捨選択していく
- ここから自分なりにさらに取捨選択して整理していく
- ネームに取り掛かる
この工程を踏まえればそんなに大きな失敗はないと思います。
大きい仕事って大変だけどやりがいあるからクジけないで頑張ってください!!
年内に1本持込作品を考えています。
絶対に仕上げるぞー!!
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