漫画家と編集者は切っても切れない関係。
漫画家を生かすも殺すも編集者にかかっているといっても過言ではない。
※編集者を妄信しているということではない。
今、漫画家としてやっていくためには、出版社で本を出すという方法が一番固いというか、現状ほぼそれしか方法はない。
だから、編集者は有能な方が成功の可能性が高くなる。
今回は、ある天才編集者を人聞きしてきてこの記事を書くにあたってこの人のことだったんだと知ったという話。
そして、漫画の編集に必要な能力とは何かについて考えてみる。
謎の有能な漫画・編集者を突き止めろ!
人づてにこんな編集がいたよっていうのを、全く別々の人たちから聞いてきて、ある時同一人物だったんだ!
と点が線になった瞬間を体感した。
では、各々の証言を見ていこう。
有能編集者の証言-1
冒頭で話したK.Iという年配漫画家。
この人と話してたら、前から温めてるネタがある。
〇〇みすず(←これ名前いってたけどどうしても思い出せません…)
これを昔担当だった人に見せてきた。
という話。
その漫画編集者の話
“これだと雲をつかむような話だからもっとちゃんとまとめてからにしないと誰にも相手にされない”
というような感じのことを言われたらしい。
そして、”これはちゃんと今の編集長のところに持っていったほうがいい。昔の編集長が口を出すのもおかしな話だから”
みたいな。
ん?昔の編集長?と思って聞いてみると。
この人は天才編集者って呼ばれていて、モーニングを創刊した人だ。
と話していた。
思えば、このK.Iさんの影響でモーニングが憧れの雑誌になったんだと思う。
有能編集者の証言-2
漫画家の末路…で話した主婦になった人。
漫画家の末路の中でちょこっと触れた人↓↓↓
この人が前に講談社に天才編集者がいて、その人に漫画を見てもらったら泣いた
といっていた。
この人の話だと、この天才編集者に漫画を見せた人はみんな伸びるといっていた。
そして、この人が漫画家志望の漫画を読んでいっていた意見を聞いてみると、
”私はその天才編集者さんが言ってたことをいってるだけ”
っていっていた。
天才編集者…
有能編集者の証言-3
うちに原稿を手伝ってくれた人。
この人は言うことがデカいというか、うそなのかホントなのかいまいちわからなかった人。
- オレがアドバイスした漫画家は売れる
- 桂正和に月4回で14万だか20万だか(忘れました)ふっかけた
- 福本伸行もオレがアドバイスしてやったら売れた
- ジャンプでデビューするにはジャンプ脳にする必要がある
桂さん自信はOKだったけど、奥さんNGが出てダメだった
などなど。
1つ、漫画のキャラについての話を思い出した。
編集者が驚いた水島新司の奇行?
岩鬼(ドカベン)が、三振をしなければいけないシーン。
編集さんとの打ち合わせでは三振ということになっていたけど、原稿を渡したときに編集があっけにとられて
水島さん…
これ…
岩鬼がホームランを打ってますけど…
さすが岩鬼だよね
オレもびっくりしたよ!
と水島新司が言ったらしい。
それでアシスタントの人が言ってたのは、あの人(水島新司)天然だからと言っていた。
が、そうではない。
漫画ってそういうものでしょ。
キャラが立つっていうのはそういうこと。
自分も一回、ある連載漫画の企画で、描きたいキャラ、描きたいキャラすべて潰してくるバカ(編集より上のクライアント)のせいで、もうマジでやる気がなくなってたけど、一人だけ自由にコマの中で遊ばせてたキャラがいて、読者のコメントで、あのキャラうざすぎるって言われてて嬉しかったな。
目立ってたんだって。
あ、ちなみに私はドカベンを読んだことはありません。
話の内容も意訳で再現ではない。
話がそれたけど、その人がこんなことを言っていた。
モーニングを創刊した天才編集者がいて~という話をしていた。
あっI.Kさん、Kさんが言ってた編集さんだ。
有能な漫画の天才編集者・栗原良幸!
これだけネットが普及した時代だから調べてみたらすぐに判明。
上記の三名が話していた天才編集者とは栗原さんのことだったのだ!
K.Iさんの話によると、当時はもうフェーマススクールズのトップになってるといっていた。
そういえば、フェーマススクールズやってて、何回か会った人いたなぁ
あの人絵のアドバイスしてくれたけど、あの人がまさか…
週刊少年マガジンの編集者時代。
低迷してた手塚治虫を担当して三つ目がとおるをヒットさせたという。
有能編集者・栗原良幸氏の実績
モーニング・アフタヌーン創刊&編集長
手塚治虫:三つ目がとおる
さだやす圭/やまさき十三:おかしな2人
小林まこと:What's Michael?
かわぐちかいじ:アクター、沈黙の艦隊
弘兼憲史:課長 島耕作
青木雄二:ナニワ金融道
岩明均:寄生獣
山本康人:鉄人ガンマ
王欣太/李学仁:蒼天航路
鄭問:東周英雄伝
新井英樹:宮本から君へ
田中政志:ゴン
山下和美:天才柳沢教授の生活
藤島康介:ああっ女神さまっ
沙村広明:無限の住人
坂口尚:あっかんべェ一休
吉川壽一;SHOあっ晴れ
栗原良幸氏の名言集
さらに調べると結構名言を言っていたから一部を紹介。
- 漫画には過去に名作なし
- 読者はアウトサイダーぶったニセモノなんかと付き合いたくない
- この漫画はまだ描ききってないな
- 本は魂の食い物
- 最下位を取り続けろ。最下位を守れなくなったら打ちきりだ
- 安い役者使ってるな
- これは体温が1度しか上がらないなぁ
- 日本の漫画は2コマからなる。面白い2コマが思い浮かべばそれは何千コマのマンガを生み出す出発点になる
- 漫画は読者にとって自然なテンポで読める。それってすごく開放的で気持ちのいいことだ
- 面白ければ犬が原稿くわえてきても、犬と打ち合わせした
- 電話の声が半径100メートルまで聞こえた
これについては、前に読んだ漫画の本でこんなようなこといってました。
これについても後日話します。
「本は魂の食い物」という熱い言葉を『モーニング』初代編集長の栗原良幸さんから以前に伺ったことがあり深い感銘を受け続けているが、今という時代は自分が「何を食べたいのか?」を自分で決められない読者が増えてきたように感じている。
— 太田克史 (@FAUST_editor_J) 2010年7月23日
この最下位を取り続けろというのは、なんとなくわかる。
昔、アクションに持ち込んだときに、近くで漫画家と編集さんの話が聞こえてきた。
”批判でも意見が聞けるというのは、嬉しいことなんです!!
怖いのは何の反応もない漫画です。”
みたいなこと話してて、自分と照らし合わせても批判が聞けたんだからそれだけのエネルギーを生み出したを言っていましたんだ。
って思えました。
など名言多数。
有能と呼ばれる漫画の編集者の条件
自分は、恥ずかしながら一流誌で闘ったことがないから、偉そうなことはいえない。
そんな中で今まで絵を描いてきたうえでの経験で考えてみる。
漫画家の経験値からの視点
二度と仕事をしたくないと思うクライアント
- 相手の大変さを理解しない
- 制作者の意向は関係なし
- 説明が不足している
- クライアント最重視
相手のことを全く考えないスケジュールなどを立てて、描かせようとする
仕事をやってるんだから描けやスタンス
出した案に対して、ダメ出しをするまではいいが、どこがどうダメなのか、どういう方向にしたらいいのか明確なものがない
ただ、これは難しいところで、口に上手く出せる人出せない人がいる
クリエイターは無限の修正地獄に陥ることもしばしばだから、上手く説明できない人は話して、何が原因なのかを話の中から掴んで本質のところを修正していくということをしないといけない
金出してるんだか描けや
さっきと重複するけど、金を出してるんだから文句言わないで描け!っていうスタンス
こういうクライアントは一回やっ手継ぎに依頼が来ても断る
1億も、2億もくれるなら金が心を癒してくれるからやるが端金で描くと思うな
1にも2にもとにかくクライアント重視
こういうのは難しいけど、バランスが明らかにおかしいときがある
クライアントの考えが消費者の心を捉えているかっていうところをちゃんと考えないといけない
もし、ディレクター、クライアントと打ち合わせとなったらおかしいところ、疑問に思うところはその時に詰めていかないと、その企画自体が成功しない
ディレクターとクリエイターのみの打ち合わせだとあまり打ち合わせる意味がない
というところ。
こんなことを考えていたら、ある人のことを思い出した。
有能である点
このデザイナーさんはすごくやりやすくてコントロールがとてもうまく、すごくいい人。
- 費用はいくら必要か
- スケジュールをまとめる能力が抜群
- 相手のことを常に考えている
- 話してて楽しい
必ず企画の段階で費用がいくらかかるかを確認してくれる
クリエイター、クライアントのスケジュールを無理なく組めて進行がスムーズ
ものすごく優しい人だから常に人のことを考えるやさしさがある
話してて楽しい人って、アイデアとか経験が豊富だから話が普通に話してても面白いのだろう
そしてそういう人は得てしてアイデアマン
上記のことをまとめて漫画の編集者として考えてみる。
漫画の編集者として有能な3つの条件とは
- 発想が豊か
- アンテナが高い
- 相手のことを考えている
発想が豊かでポンポンポンポン話題が出てくるから、話してると脳が刺激されてアイデアが生まれやすくなる
クリエイターって、個人的なイメージだとアイデアが偏りがちになりやすい
編集者は商業としてやっている以上売り上げを上げないといけないから、有能な編集者というのは常に世間の流れについてアンテナが立っている
クリエイターの偏ったところを上手くコントロールしながら、商業的にも売れ筋のアイデアを出してくれる
編集者は、読者代表という言葉がある
この言葉が示す通り読者が何を望んでいるかというのを把握できる能力がないといけない
相手のことを考えられない人間が遠い読者が何を望んでいるかなんてわかるはずがない
上記の三つが有能な編集には必要な能力かなと思う。
とは言いつつも、証言-3の人がこんなことも言っていた。
売れた漫画家さんは編集の意見は聞いてないですよ
と。
これはその通りでしょう。
編集者といっても一人の人間、人間どこかに必ず偏っている部分がある。
だから、編集がこういうから絶対に正しいではない。
自分がどうしても従いたくないなら、その部分は自分のこだわりなんだから曲げてはいけない。
1人でも多くの漫画家さんが有能な編集者に出会えますように。
有能な漫画の編集者3つの条件とはまとめ
この記事を書くにあたってどういう編集者が有能なんだろうと考えてみたけどやっぱりここのやり方、相性で全く変わってくる。
だから、自分の経験談の中から一般的にこういう思考をする人が有能な編集さんなんじゃないかという考察をしてみた。
これについては、色んな人の意見が聞いてみたい。
自分はこんな編集さんが優れてると思うなど意見があればコメントで教えてほしい。
栗原良幸さんについて調べていたら、つい最近の記事を見つけたのでリンクを貼っておく。
いつか会うことがあったら、漫画についての話を聞いてみたい。
参照サイト
夏目房之介の「で?」
青春少年マガジン1978~1983 (KCデラックス 週刊少年マガジン)
僕の師匠(Part2)
2005年5月 - 開運 ひと文字HAPPY!
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ひまあり 1 (モーニングワイドコミックス)
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