漫画の原稿料の相場を知っているかな?
この金額を話したらみんなどんな反応をするんだろう。
安っなのか、高いなのか。
興味がある。
今回は漫画の原稿料について考えていたら、色々漫画業界についても深く考えてしまった。
漫画の原稿料の支出について考察
私もずっと出版社じゃないと漫画でお金を稼ぐことができないと思っていた。
今でもおそらく多くの漫画家、漫画家志望者も思っていると思う。
それが2016年から始めたこのEdecooでガラッと考えが変わった。
お金を稼ぐだけなら別に出版社に属さなくても稼げるぞ…と。
実際に稼げるようになると出版社の原稿料の相場感はおかしいかも…と疑問に持つようになっていった。
よー清水氏が漫画の原稿料の安さに驚愕!
少し前の話になるが。
みなさんはよー清水というイラストレーターを知ってる?
うちも液タブを導入してから、本格的に着色を覚えていかないといけないと思って、アマゾンで評価が高かったから、購入した「ファンタジー背景」描き方教室の著者。
2017年のtwitterのつぶやきでこんなことを言っている。
いまや商業漫画の依頼は作家にとってコスパが悪い!? 漫画出版業界が抱える問題点を編集者・荻野謙太郎氏が指摘 - Togetterまとめ https://t.co/nPpdsrdg1q @togetter_jpさんから
商業漫画の原稿料安すぎてビックリ、きつすぎる…
— よー清水🔥本垢の凍結解除されました (@yoshimizu629) October 20, 2017
それに反応した漫画家?さんたちがこんな返信をしている。
僕は一番最高で13000円でーす(白目)駆け出しなら7,000~9,000円くらいじゃないですかね…中堅でも15,000超えはたぶんジャンプマガジンクラスかなと……
— 荒草まほん@冬3日目西れ70a (@mahoone) October 20, 2017
二万だと、相当高い方ですね……😞
— なかやん🍣冬コミ2日目 れ-46b ろんぱいあ (@u1_kakuge) October 20, 2017
今回は漫画界の設定する原稿料について考察していってみる。
原稿料を漫画家が公開!
日時計の本業での漫画仕事の原稿料の話
私自身が本業の方でもらった原稿料はデビューした3流誌?は5,000円だった。
そのあと色々やって雑誌、出版系で一番高かったのは25,000円。
だいたい12,000円位かな。
数年前にやったsnsでの連載漫画の時も12,000円。
企業の仕事の最高額は1P50,000円。
アメリカのフェチ漫画?のサイトで7,000円…9,000円だったかな。
これは線画までで、着色はその会社のカラーリストがやるっていうことだった。
レディース系女性漫画家さんの原稿料
この記事を書くために、悪いんだけど原稿料について教えてもらえませんか?
と下手に下手に出て教えてもらった。
詳しく書くと特定されちゃうから詳しくは書かない。
講談社でデビュー。
すごくてヤンマガの別冊だかなんかの大賞で100万円を獲った逸材の漫画家さん。
でその雑誌の連載時1P10,000円。
大賞獲ったから10,000円スタートだったけど、通常は7,000円~8,000円スタートらしい。
で今のレディースでは7,500円、ホラーだと5,000円。
少女漫画もそんな費用感らしい。
某編集部に聞いた廉価版コミックスの原稿料
2007年頃空前の廉価版コミックスブームがあった。
こんなやつ。
これを直接雑誌の編集部からの依頼だと10,000円~12,000円なんだけど、編集プロダクション経由になると7,000~8,000円。
ひどいところだと5000円とかもザラっぽい。
編集プロダクションとは
出版社とか広告代理店から雑誌、書籍の編集業務を委託される編集業者
某雑誌の編集さんと編プロの給料について話をしていたところ
編プロは自分で経営しないと金にならない
とのこと
そんな感じの存在
で、うちに直接廉価版コミックスの依頼をくれる編集さんに質問したことがある。
編集プロダクションからこういう廉価版の依頼が来ると7,000円~8,000円なんですよ
あぁ
たしか、編プロに出すと予算が200万円~300万円くらいなんですよ
そうなると、ページ数が300P、1P10,000円、そのうち250Pが漫画だとする。
漫画家への支払いが175万円、130万円くらいが編プロの取り分。
某雑誌の編集さんの”編プロは自分で経営しないと金にならない”という話もうなずける。
漫画界の原稿料と支出諸々
体感として漫画界の認識としてはベースの8,000円は守ろうみたいな空気感を感じている。
1P8,000円 | |
---|---|
月刊誌 | |
24P | 192,000円 |
32P | 256,000円 |
週刊誌 | |
1話17P×4週 | 544,000円 |
ちなみにうちの収入(今のじゃないよ例えばの話ね)
月刊連載 | |
---|---|
20P×10,000円 | 200,000円 |
単発 | |
10P×12,000円 | 120,000円 |
計 | 320,000円 |
それなりに行くじゃんと思うでしょう?
では、生活費を考えてみる。
普通の人間が1か月必要な費用
普通の人が普通に暮らすうえで必要な費用を調べてみるとこんな感じらしい。
1人暮らし | 4人家族 | |
---|---|---|
食費 | 39,000円 | 40,000円 |
水道光熱費 | 11,000円 | 15,000円 |
通信費 | 6,600円 | 2万円 |
娯楽交際費 | 25,000円 | 2万円 |
その他費用 | 13,000円 | 10,000円 |
美容・服飾費 | 10,000円 | |
お小遣い・趣味 | 30,000円 | |
教育・教養 | 50,000円 | |
保険料 | 25,000円 | |
家賃 | 60,000円 | 120,000円 |
計 | 154,600円 | 340,000円 |
一人暮らしでも154,600円のの生活費がかかる。
4人家族になると34万円までふくれあがる。
漫画の原稿料からアシスタント代を支出
支出 | 残額 |
---|---|
1か月の収入 | 320,000円 |
アシスタント代 80,000円 |
240,000円 |
生活費 156,000円 |
84,000円 |
技術Bアシスタントが日給7,000円、技術Sアシスタントの日給11,000円。
技術Bが2日と技術Sが6日で 80,000円。
生活費を引いた残りが84,000円。
行けるじゃんと思うでしょうが、連載は永遠に続くわけではないから毎月節約につぐ節約をしなくてはいけない。
一人暮らしだからまだいいけど、家族になるとこの金額ではやっていけないから奥さんは働きに出なければいけない。
今度は、漫画を制作するのに使う時間について考えてみる。
漫画の作業工数と原稿料のバランス
20Pで考えてみる。
資料集め | 1日 |
---|---|
プロット ネーム |
1日~3日 |
下描き | 5日位 |
ペン入れ | 3日~4日 |
仕上げ | 1日 |
制作期間 | 15日 |
20P 160,000円 |
1日辺り10,666円 |
1P8,000円で計算してみると1日辺り10,666円。
自分の場合は40Pくらいなら一人でできるんだけど、アシスタントをあまりやってこなくて、背景が描けないから難しい背景となると技術Sの人の力が必要になる。
これが手が遅いと、アシスタントを何日か呼ばないと間に合わなくなる。
漫画の原稿料と著作権
近頃漫画界だけではなく著作権がうるさくなってきている。
これについては当たり前のことだし、漫画描きとして、イラストレーターとして、絵描きして権利を守る制度が強化されるのは非常に大歓迎だけど、性急に進むのは色々問題が大きくなると思っている。
拾った画像を参考に絵を描くのがいけないという風潮
これもおそらく著作権がー!ってことでみんないけないことって言ってるんでしょう。
各有名素材サイトの定額プランを調査してみるとこんな感じ。
サイト名 | 一ヶ月費用 |
---|---|
123RF | 27,800円 |
fotolia | 32,000円 |
Shutterstock | 32,000円 |
ペイレスイメージズ | 29,700円 |
PIXTA | 37,800円 |
YOURSTOCK | 34,560円 |
iStockphoto |
4,000円 1か月10点まで |
どうでしょうか。
素材を買うにもこれだけのお金がかかってしまう。
できないこともないけど、仕事がなくなったときのために貯金しないといけないし。
この拾った画像で絵を描いてはいけないことがよくわからない。
何がいけないんだよっ
漫画家、絵描きに厳しすぎねぇか?
絵描きだって人間なんだから全くの想像では描けねぇから!!
何かと話題になるトレパクについての考察↓↓↓
漫画界の著作権が厳格化されることの恐怖
あるときアシスタントが描いた絵って著作権どうなってんだろうと考えたことがある。
一番信頼している長年原稿を手伝ってもらっている漫画家兼スーパー背景師に話を聞いてい見ると、
その人のところで描いているから、著作権はすべてその人に譲渡していると認識している
でも、著作権が厳格化してくると、家に招いて絵を描いてもらう場合はそうなるかもしれませんけど
クラウドソーシングみたいに立ち位置がクライアントと制作者となりやすいときは、著作権を行使して買い取りだから〇〇円ください!となる可能性があると考えると…
確かに
と言っていた。
本当に今の漫画界の原稿料の相場だと漫画家はどんどん経済的に苦しめられることになる。
漫画界は原稿料の相場を見直さなないといけない!
上記で話してきたように、もともとの原稿料の業界の相場がおかしいところに持ってきて、トレパクがー!著作権がー!となるとますます金が稼げない漫画家がもっと貧困に陥ってしまうことになる。
そうしたら、漫画を創るっていう部分でも悩んでいるのに、その上お金にも悩み続けなければいけないなんて…
地獄だ。
ますます漫画界に入ってきたい子供、若者は減り続けてしまう。
やっぱりこういう仕事は夢のある世界じゃないと憧れないしなりたいとも思わないと思う。
こういう話をしていると”才能ないのがいけないんだろ”というでしょう。
でもね。
よく考えてみてほしい。
編集側からうちの雑誌、本で漫画を描いてくださいって来ているんだから、そこはせめて一般社会で働いている人並みのお金はもらってもいいんじゃないの。
漫画家は税金なしとか、消費税かかりませんとかそんなならまだいいかもしれないが、おんなじ物価の中で生きてるんだから。
そこから、才能があって本が売れる人はボーナスとして印税がもらえるっていうシステムが本当は正常だと思うし、おかしいことは全く言っていない。
絵描きだって、贅沢はしたいし、おいしいものは食べたいんだから。
漫画家の原稿料はいくらが正常か
冒頭のよー清水さんの認識だと1P20,000円は安いと思ったといっていたが、漫画とイラストでは同じ絵でも違う。
雑誌の漫画はどうしても枚数があるから20,000円位が妥当じゃないかな。
20P描けば40万いくし。
こうなると弱小出版社にはそれだけの体力はない。
でも、そこで淘汰されるならそれまでのものだと思う。
もっと夢のある業界になってほしい。
このままだとおそらく漫画界は、好きな人は好きというものになっていく。
今でいうレコードのような。
原稿料の相場観について考察したら漫画界の闇が…まとめ
- イラストレーターから見ると漫画の原稿料の安いと感じる
- 漫画界の原稿料の体感相場は8,000円
- 漫画家は常に貧乏
- 著作権が漫画家を苦しめる
- 原稿料は20,000円を相場に見直した方がいい
このサイトをはじめて1P20,000円とか30,000円とかで描くようになると、出版社の原稿料がどうしてもバカバカしく思えてきてしまったこともあって、出版界に興味がなくなっていた。
それが今の気持ち。
とは言いつつも、人間のハングリー精神はものすごい力を秘めているとも思っているから、恵まれすぎているといいものが生まれなくなるかもしれない。
いち漫画好きとしてはいつまでも漫画という文化は大衆文化であり続けてほしいと願っている。
そういえば、2007年頃某中堅出版社の編集さんが
井上雄彦って1P16万らしい
といっていてたまげた。
これを読んだ人の意見も聞きたい。
思い思いの意見をコメントとか、メールで送ってくれてもよいよ。
コメント
一か月にかかる生活費が凄いな
結論ありきで数字を引っ張ってきてるのが見え見えw
さん
スゴいかねぇ?
一人暮らし、家族の家計費もどこからか引っ張ってきた数字ではあるけど、自分は高校出てからずっと借金があったから、毎月の支払いはこんなものではなかったけど。
今も、一人だけど30万はないと生活できないし。
https://blog.ieagent.jp/hitorigurashi/jyosei-hitorigurashi-seikatsuhi-28487
15万って安いものだと思うけどな。
まぁ人によってお金の捉え方が違うから何とも言えないけど。